日本の新年を彩る正月料理「お雑煮」。
その美味しさの秘訣は、風味豊かな「だし」にあります。
だしは、昆布や鰹節から抽出される香り高い出汁で、各地域ごとに異なる風味を持っています。
北海道の利尻昆布や関西の昆布だしなど、多彩なバリエーションが存在します。
お雑煮の味わい深さは、このだしの選び方と使い方にも関わっています。

 

□お雑煮とは

お雑煮は、新年の訪れに幸福な収穫と豊かな漁獲を祈願し、家族の健康を願って食べられる伝統的な正月料理です。
お雑煮は、広義には「餅が含まれたスープ状の料理」を指し、地域や家庭によって、餅の形状や具材、風味が異なります。

 

現代では、スーパーマーケットなどで手軽に手に入るお餅も、かつては祭りや特別な日である「ハレの日」にのみ食べられる特別な食材でした。
新しい年の幕開けであるお正月に、通常はなかなか味わえないお餅を食べることで、祝福の意味を込めたお祝いが行われるようになり、これがお雑煮の習慣の起源とされています。

 

□地域別のお雑煮のだしや具材の違い

1.北海道
国内産の昆布の90%は北海道で生産されており、利尻昆布や羅臼昆布など、産地によって風味が異なるのが特徴です。
お雑煮に関しては、道外からの入植者たちが歴史的に影響を与え、各地の食材が混在しています。

 

2.東北地方
だしではなくタレが使われ、くるみダレが好んで作られました。
宮城の焼きはぜ雑煮や秋田の男鹿雑煮にはハタハタが、福島のこづゆ雑煮には干し貝柱のだしがたっぷりと使われ、東北らしい具材とだしが特徴です。

 

3.北陸地方
新潟の越後雑煮は鮭とイクラの親子雑煮で、その華やかな印象が特徴です。
富山も海の幸に恵まれており、海老入りの雑煮が豪華さを表現しています。
福井ではみそ文化が根付いており、みその味とカツオ節を組み合わせたかぶら雑煮が有名です。

 

4.関東地方
江戸雑煮はカツオ節を使っただしで、醤油とみりんで味付けされます。
鶏肉やかまぼこが具として入ることで、関東地方特有のオーソドックスなお雑煮となっています。
千葉のはばのり雑煮は例外的な存在であり、はばのり雑煮も同様にカツオ節のだしを使用します。
九十九里周辺のはばのりは高級品とされています。

 

5.甲信越地方
海のない長野ではブリが贅沢な具材として重宝され、富山から運ばれたブリが特に重要視されてきました。
山梨の雑煮には山の幸が豊富に入り、カツオ節だけでなくどんこ(乾しいたけ)も使用されています。

 

6.東海地方
愛知では名古屋の赤味噌が有名ですが、お雑煮に関してはすまし仕立てが主流です。
三重では地域によってみそ仕立てと名古屋風の雑煮が存在します。

 

7.関西地方
京雑煮のだしには昆布が使用され、白みその地域やすまし汁の地域もあります。
関東と比べて、カツオ節ではなく昆布が主流のため、昆布だし文化が根付いています。
昆布は奈良時代から朝廷の献上品とされ、関西地方で重要な役割を果たしました。

 

8.四国地方
香川のあんもち雑煮は白みそのだしに餡入りのお餅を組み合わせた料理で、瀬戸内特産のいりこだしを使用しています。
四国地方全体で「あんもち」と「白みそ」が主流の傾向があります。

 

9.中国地方
広島ではかき雑煮が特産で、他にもアナゴやブリ、蛤などの具材が使用される地域があり、瀬戸内海の恩恵が存分に受けられています。
島根のあずき雑煮はぜんざいに似たお雑煮です。

 

10.九州地方
福岡の博多雑煮はあごだし、昆布、鶏肉だしをブレンドし、醤油で味付けされます。
鹿児島では焼き海老のだしを使った焼き海老雑煮が代表的です。
海に囲まれた地域は全体的に贅沢な雰囲気が漂います。

 

11.沖縄
沖縄ではお餅を用いた雑煮の習慣はほとんど見られず、代わりにお正月には豚のモツを使った「中味汁」という伝統料理が一般的です。

各地域ごとに、だしや具材などさまざまな特徴があり、家庭によっても異なるバリエーションが存在します。

 

□まとめ

お雑煮におけるだしの重要性をご理解いただけましたでしょうか。
しかし、だしを取るのは手間暇がかかり面倒ですよね。
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水に薄めるだけで本格的なだしが取れます。