塩ラーメンは、醤油や味噌のように強い調味料の風味でまとめるのではなく、ベーススープやだしの旨味、塩ダレ、香味油のバランスによって味を組み立てるラーメンです。そのため、使用する素材の特徴がスープに表れやすく、店舗ごとの個性を出しやすい一方で、仕込みの条件が変わると味の違いも生じやすくなります。
特にラーメン店などの飲食店では、毎日一定量のスープを仕込み、どのスタッフが調理しても同じ味で提供できる状態を作ることが重要です。ベーススープ、塩ダレ、香味油をそれぞれどのような役割で使うのかを理解し、1杯分の使用量まで数値化しておくことで、味を安定させやすくなります。
また、訪日観光客の増加を背景に、ヴィーガンや食習慣に配慮したメニューを検討する店舗もあります。通常の塩ラーメンでは鶏、豚、魚介などを使用することが多いため、ヴィーガン対応を行う場合には、通常メニューとは別に動物性食品を使用しない野菜だしを取り入れる方法もあります。
ここでは、業務用の塩ラーメンスープを作る際の基本的な考え方から、店舗で味を安定させる方法、目指す味に合わせた業務用だしの選び方まで解説します。
業務用の塩ラーメンスープは何で決まる?
塩ラーメンのスープは、大きく分けると「ベーススープ」「塩ダレ」「香味油」の組み合わせによって作られます。
それぞれの役割を分けて考えることで、味が薄い、塩味が強い、香りが弱いといった問題が発生した場合にも調整しやすくなります。
ベーススープが旨味の土台を作る
塩ラーメンの味の中心になるのがベーススープです。
鶏ガラや丸鶏、豚骨などを使用した動物系スープのほか、昆布、かつお節、煮干し、貝類などを使用した魚介系のだしを組み合わせる方法があります。
塩ラーメンではスープ自体の色が比較的淡いため、ベーススープの旨味や香りを感じやすいことが特徴です。そのため、どの素材を中心に据えるかによって、同じ塩味でも仕上がりの印象は大きく変わります。
例えば、鶏を主体にするとすっきりしながらもコクのある味に設計しやすく、魚介だしを重ねれば和風の香りや旨味を加えられます。しじみなどの貝類を使用すれば、鶏や魚節とは異なる旨味を加えることも可能です。
業務用では「何を使用するか」だけでなく、使用量や加熱時間、水量を一定にすることも重要です。仕込みのたびに水量や素材量が変われば、塩ダレを同じ量使用しても完成したスープの濃さが変わってしまいます。
また、インバウンド対応としてヴィーガンメニューを用意する場合は、鶏や豚だけでなく、かつお節や煮干し、しじみなども動物性原料となるため注意が必要です。野菜、昆布、きのこなどを中心にした別のベーススープを設計し、調理器具やトッピングを含めて提供方法を整理しておく必要があります。
だし.comでは、玉ねぎ、人参、キャベツ、セロリの4種類の野菜を使用した「素材調味だし 野菜400ml」も取り扱っています。動物性食品を使用しておらず、ヴィーガン認証を取得しているため、ヴィーガン向けスープのベースや旨味の補強を検討する場合にも活用できます。
ただし、宗教上の食事制限は宗教や宗派、個人によって条件が異なります。ヴィーガン対応と特定の宗教への対応が必ずしも同じとは限らないため、提供時には使用原材料や調理環境を明確に案内できる体制を整えておくことが大切です。
塩ダレが塩味と後味を決める
ベーススープに味の輪郭を付けるのが塩ダレです。
塩だけを直接スープに加える方法もありますが、店舗では塩を水や酒、みりんなどと合わせ、昆布や魚介などの旨味を加えた塩ダレを用意する方法があります。
塩ダレをあらかじめ作っておけば、注文ごとに塩を計量する必要がなくなり、「1杯につき塩ダレ○ml」と決めて提供できます。
塩ラーメンでは塩ダレが強すぎると、せっかくのベーススープや魚介だしの香りを感じにくくなります。反対に塩味が弱すぎると、旨味はあるものの全体がぼやけた印象になりやすくなります。
そのため、ベーススープだけを味見して完成度を判断するのではなく、実際に提供する塩ダレや香味油まで合わせた状態でバランスを確認することが重要です。
また、塩ダレに使用する塩や調味料を変更すると、同じ使用量でも塩味や後味が変わる場合があります。店舗の標準レシピを作る際には、原材料名だけでなく使用量まで記録しておくと、味の再現性を高められます。
香味油が香りとコクを補う
塩ダレとともに重要なのが香味油です。
鶏油やねぎ油などを使用すると、スープの表面に香りとコクを加えることができます。淡麗な塩ラーメンの場合、ベーススープだけでは香りが控えめに感じられることがありますが、香味油を加えることで、丼を提供した瞬間の香りを強くすることができます。
特にラーメンは、味覚だけでなく湯気とともに立ち上がる香りも印象を左右する料理です。
ただし、香味油を多く入れれば良いというものではありません。油が多すぎると魚介や貝だしなどの繊細な香りを覆ってしまう可能性があります。
業務用では、塩ダレと同様に「1杯○ml」と使用量を決めておきます。レードルの大きさやディスペンサーを統一しておくと、スタッフによる量の違いも抑えやすくなります。

塩ラーメンのスープはどう作る?
塩ラーメンには決まった一つの作り方があるわけではありませんが、基本的にはベースとなる清湯スープを作り、必要に応じて魚介だしを重ね、最後に塩ダレと香味油で味を整えます。
店舗では、それぞれを別々に仕込んでおくことで、営業中の提供を効率化できます。
鶏や豚の清湯をベースにする
淡麗な塩ラーメンでは、濁りを抑えた清湯スープがよく使われます。
鶏ガラや丸鶏、豚の骨などを使用し、下処理をしたうえで加熱して旨味を引き出します。強く沸騰させ続けると脂肪やたんぱく質が混ざって濁りやすくなるため、透明感を重視する場合は火加減を管理する必要があります。
また、アクを適切に取り除きながら加熱することも、雑味を抑えたスープを作るうえで重要です。
鶏のみで軽い味にするのか、豚も加えて厚みを出すのかは、店舗が目指すラーメンによって異なります。
ここで重要なのは、毎回同じ条件で仕込むことです。「鶏ガラ○kg、水○L、仕上がり○L」のように基準を作り、完成時のスープ量まで管理すると、濃度の差を抑えやすくなります。
大量に仕込むラーメン店では、投入時の水量だけでなく、煮詰まった後の最終的なスープ量を基準にする方法も有効です。
魚介だしを重ねて旨味に奥行きを出す
動物系の清湯スープに魚介だしを合わせることで、塩ラーメンに異なる種類の旨味や香りを加えることができます。
かつお節、昆布、煮干し、さば節など、使用する素材によって方向性は変わります。
例えば、鶏清湯だけではすっきりしすぎる場合にかつおの風味を加えると、和風の香りを持たせることができます。一方、しじみなどの貝だしを合わせれば、魚節とは異なる旨味を加えられ、貝系塩ラーメンなどのメニューにも展開しやすくなります。
ただし、魚介素材を多く使用しすぎると、ベースとなる鶏や豚の風味が弱くなる場合があります。
店舗では最初から一つの寸胴ですべての素材を煮込む方法だけでなく、動物系スープと魚介だしを別々に用意し、一定の割合で合わせる方法もあります。
別々に管理すると、「鶏を強めたい」「魚介を少し強くしたい」といった調整がしやすくなるだけでなく、季節限定メニューなどへの展開もしやすくなります。
塩ダレと香味油で味の輪郭を整える
ベーススープと魚介だしが決まったら、塩ダレと香味油で完成形に近づけます。
営業時には、丼に規定量の塩ダレと香味油を入れ、そこへ加熱したスープを注ぐ方法にすると、注文ごとの味を管理しやすくなります。
このとき、ベーススープだけで味を完成させようとしないことがポイントです。
塩ダレには塩味と旨味、香味油には香りとコクという役割があります。それぞれを別々に調整することで、味の問題が発生した際にも原因を判断しやすくなります。
例えば、旨味は十分なのに味がぼやけているなら塩ダレを見直し、味は整っているものの香りが弱い場合は香味油やだしの配合を検討するといった調整が可能です。
実際の店舗では、使用する麺やチャーシュー、メンマなどにも塩分があります。そのため、スープ単体ではなく、麺や具材まで合わせた1杯の状態で最終的な味を決めることが重要です。

店舗で味を安定させる仕込み方
業務用のラーメンスープでは、おいしさだけでなく再現性が重要になります。
店主が作ったときだけおいしい状態では、スタッフが増えた際や複数店舗へ展開した際に品質を維持することが難しくなります。
仕込みと提供の工程を分け、数字で管理できる部分を増やしていくことがポイントです。
ベーススープと塩ダレを分けて管理する
味を安定させるためには、ベーススープと塩ダレを別々に管理する方法が適しています。
ベーススープに最初から塩味まで付けてしまうと、営業中に煮詰まった際に塩分まで濃くなり、時間帯によって味が変わる可能性があります。
一方、ベーススープと塩ダレを分けておけば、ベーススープの濃度と1杯分の塩ダレ使用量をそれぞれ管理できます。
さらに、魚介だしも別にしておけば、ベースとなる清湯スープを共通化しながら、通常の塩ラーメン、魚介塩ラーメン、貝だし塩ラーメンなどへ展開することも可能です。
限定メニューを頻繁に開発する店舗にとっては、基本となるスープを大きく変えずに味の方向性を変更できることもメリットになります。
仕込み表には、素材の重量、水量、加熱時間、完成量、保存容器などを記録しておくと良いでしょう。
1杯分の使用量と希釈率を統一する
業務用のスープ作りで特に重要なのが、1杯分の使用量を統一することです。
例えば、「ベーススープ300ml、塩ダレ30ml、香味油5ml」のように、店舗で採用した配合を数値として決めておきます。数値はあくまで店舗ごとに試作して決定する必要がありますが、一度基準を作ればスタッフによる味の違いを抑えやすくなります。
濃縮タイプのだしを使用する場合にも同様です。
目分量で加えるのではなく、ベーススープ何Lに対して濃縮だしを何ml使用するのかを決めます。
新しいだしを導入するときは、最初から大量のスープに加えるのではなく、少量のスープで複数の希釈率を試し、塩ダレや香味油まで加えた完成状態で比較すると調整しやすくなります。
また、営業時間中にスープが煮詰まる店舗では、開店直後と閉店前の味も確認します。仕込み時に同じ配合でも、営業中の加熱状態によって濃度が変わるためです。
提供直前のオペレーションまで含めて数値化することで、業務用として再現性の高い塩ラーメンを作りやすくなります。
目指す味に合う業務用だしの選び方
塩ラーメンでは、使用するだしによって味の方向性を変えることができます。
一から大量の魚介素材を仕込む方法もありますが、店舗の人員や仕込み時間によっては、液体濃縮だしを組み合わせることで作業負担を抑えながら特徴を加える方法もあります。
だし.comでは、ラーメン店でも使いやすい液体タイプの業務用だしを取り扱っています。
かつおの香りを加える特濃だし かつお400ml
和風の香りを強調した塩ラーメンを作りたい場合には、「特濃だし かつお400ml」を活用できます。
「特濃だし かつお400ml」は、かつお節を使用した液体濃縮だしです。力強い燻のある香りと濃厚な旨味が特徴で、ラーメン店での導入実績もあります。
料理に合わせて希釈して使用できるため、ベーススープを大きく変更せず、かつおの旨味や風味を追加したい場合にも使用しやすい商品です。
例えば鶏清湯を中心にした塩ラーメンに加えることで、鶏の旨味を土台にしながら、かつおの香りを感じる魚介系の方向へ調整できます。
店舗でかつお節から毎回だしを引く場合、使用量、湯量、抽出時間などによって風味が変化します。液体濃縮だしであれば、使用量を決めて管理しやすいため、スタッフが複数いる店舗での味の標準化にも活用できます。
また、ラーメンだけでなく、つけ麺、まぜそば、油そばなどへの使用も想定されているため、複数メニューでかつおの風味を共通化したい店舗にも取り入れやすいでしょう。
まず少量からベーススープに加え、塩ダレや香味油を合わせた完成状態で濃さを確認し、自店に適した配合を決めることがポイントです。
なお、かつお節を使用しているため、ヴィーガンメニューには使用できません。通常の塩ラーメンとヴィーガン対応メニューを併売する場合は、使用するだしを明確に分けて管理する必要があります。
しじみの旨味を加える素材調味だし しじみ400ml
魚節とは異なる魚介の旨味を加えたい場合には、「素材調味だし しじみ400ml」を活用できます。
「素材調味だし しじみ400ml」は、国産のしじみを使用した液体調味だしです。料理に合わせて薄める、またはそのまま使用でき、ラーメンにも利用できます。
魚節の強い香りとは異なり、貝の旨味を生かしたスープ作りをしたい場合に適しています。
例えば、鶏を中心とした清湯スープに少量加えて旨味を補強したり、しじみの風味を前面に出した貝だし塩ラーメンへ展開したりすることができます。
商品では希釈倍率10~20倍が目安として案内されていますが、ラーメンの場合はベーススープ、塩ダレ、具材などにも旨味や塩分が含まれるため、最終的な使用量は店舗のレシピに合わせて調整します。
濃縮タイプであることから、必要な分だけ計量して使用しやすいことも業務用でのメリットです。
一から大量のしじみを仕入れて砂抜きや加熱、濾過まで行う場合と比較すると、仕込み工程を簡略化しながら、既存のスープへしじみの特徴を加える方法として利用できます。
こちらもしじみを原料としているため、ヴィーガンメニューには使用できません。インバウンド需要を意識してヴィーガン対応の塩ラーメンを設ける場合は、通常の魚介塩ラーメンとはスープやだしを分け、「素材調味だし 野菜400ml」のような動物性食品不使用のだしを選ぶ方法があります。
ヴィーガン対応メニューを用意することは、これまで通常のラーメンを選べなかった訪日観光客などにも選択肢を広げるきっかけになります。通常メニューをすべて変更するのではなく、既存の塩ラーメンの仕込みとは別に植物性のベーススープを設定することで、店舗のコンセプトを維持しながら新しい客層への対応を検討できます。
まとめ
業務用の塩ラーメンスープは、ベーススープ、塩ダレ、香味油の3つをどのように組み合わせるかによって味が決まります。
鶏や豚の清湯スープを土台にし、かつおなどの魚介だしやしじみなどの貝だしを重ねれば、塩ラーメンに旨味や香りの奥行きを加えることができます。一方、塩ダレは塩味と後味、香味油は香りとコクを整える役割があります。
飲食店で安定した味を提供するためには、それぞれを分けて仕込み、ベーススープの完成量、1杯分の塩ダレや香味油の使用量、濃縮だしの希釈率などを数値化しておくことが重要です。
かつおの力強い香りを加えたい場合には「特濃だし かつお400ml」、貝の旨味を加えたい場合には「素材調味だし しじみ400ml」を活用することで、既存のスープを生かしながら味の方向性を調整できます。
さらに、訪日観光客などを意識してヴィーガン対応を検討する店舗では、鶏、豚、魚介を使った通常のスープとは別に、動物性食品不使用の野菜だしを使用したメニューを用意する方法もあります。「素材調味だし 野菜400ml」のような業務用だしを取り入れれば、植物性のスープに旨味を加えながら、仕込みの標準化にもつなげられます。
自店が目指す塩ラーメンの味と仕込み体制を整理し、必要な部分に業務用だしを取り入れることで、味の個性と店舗オペレーションの安定を両立させていきましょう。





















































