野菜の持つ繊細な旨みを引き出しただしは、料理に奥行きと深みを与えてくれます。
日本でも近年注目を集める野菜だしですが、世界各国ではどのような野菜だしが親しまれているのでしょうか。
今回は、欧米やアジアの野菜だし事情を、日本の野菜だしと比較しながらご紹介します。
様々な野菜の風味や特徴、そして選び方も解説しますので、野菜だしを使った料理作りのヒントになれば幸いです。

 

世界の野菜だし事情

 

欧米の野菜だし事情

 

欧米では、野菜だしはブイヨンやフォンの一部として活用されることが多いです。
フランス料理では、ブイヨン・ド・レギュームと呼ばれる野菜だけのブイヨンがあり、主に魚料理に使用されます。

また、フォン・ド・レギュームは、野菜をベースにしたフォンで、ソースやスープのベースとして使われます。
これらの野菜だしは、セロリ、パセリ、ニンジン、玉ねぎなどの根菜類を主に使用し、じっくりと煮込むことで、野菜本来の旨みとコクを引き出しています。
素材によって風味や色の違いがあり、ブイヨンは比較的あっさりとした味わいで、フォンはより濃厚な味わいが特徴です。

また、イタリアでは、ブロード(brodo)と呼ばれるだしがあり、根菜類を中心とした野菜のブロードや、野菜と鶏肉や牛肉を合わせた肉のブロードが、リゾットやスープなどに活用されています。

 

アジアの野菜だし事情

 

アジアでは、地域によって野菜だしの種類や使い方が大きく異なります。

中国では、「湯(タン)」と呼ばれるだしがあり、その中でも「素湯(スータン)」は、野菜、豆類、キノコなど植物性の素材から取っただしです。
白菜、キャベツ、人参、玉ねぎなどを使った蔬菜湯(シューツァータン)や、ザーサイを使った搾菜湯(ザーツァイタン)、干しシイタケを使った香茹湯(シャンルウタン)など、様々なバリエーションがあります。
これらのだしは、スープや炒め物など、幅広い料理に使用されます。

韓国では、昆布だしであるダシマルが知られていますが、野菜をメインにしただしは比較的少ない傾向にあります。
ただし、様々な野菜を煮込んだスープは多く、それらも野菜だしの役割を果たしていると言えます。
東南アジアでは、野菜をメインとしただしはそれほど一般的ではありませんが、様々な野菜を使ったスープや煮込み料理が多く存在し、それらの中に野菜の旨みが凝縮されています。

 

日本の野菜だしとの比較

 

日本の野菜だしは、昆布や干しシイタケなどを中心に、比較的あっさりとした味わいが特徴です。
一方、欧米の野菜だしは、長時間煮込むことで濃厚な旨みとコクが生まれます。
アジアの野菜だしは、地域によって大きく異なり、中国の素湯のように植物性素材に焦点を当てたものから、様々な野菜を組み合わせた複雑な味わいのものまで多様です。
日本の野菜だしは、素材の風味を活かした繊細な味わいが特徴である一方、欧米やアジアのだしは、より濃厚で力強い味わいが特徴と言えるでしょう。

 

 

野菜だし素材の探求

 

代表的な野菜だし素材

 

世界中で野菜だしに使われる代表的な素材としては、ニンジン、玉ねぎ、セロリ、パセリなどの根菜類、白菜、キャベツなどの葉物野菜、そしてシイタケ、エリンギなどのきのこ類が挙げられます。
これらの素材は、それぞれ異なる風味と旨みを持っています。
例えば、ニンジンは甘みとコク、玉ねぎは甘みと辛み、セロリは独特の清涼感、パセリはハーブのような爽やかな風味、シイタケは濃厚な旨みなどを提供します。

 

素材別の風味と特徴

 

それぞれの野菜の持つ風味や特徴を理解することで、より複雑で奥深い野菜だしを作ることができます。
例えば、甘みが強いニンジンと、辛みのある玉ねぎを組み合わせることで、バランスの良いだしを作ることができます。
また、風味の強いセロリやパセリは、少量加えることで、だし全体を引き締める効果があります。
きのこ類は、濃厚な旨みとコクを与えてくれます。
これらの素材を組み合わせて、自分好みの野菜だしを作ることを楽しんでみてください。

 

野菜だしの選び方

 

野菜だしを選ぶ際には、使用する野菜の種類や、作りたい料理の風味に合わせて選ぶことが重要です。
あっさりとした味わいが好みであれば、昆布や干しシイタケなどの単一の素材を使うのが良いでしょう。

一方、濃厚な味わいが好みであれば、複数の野菜を組み合わせて使うのがおすすめです。
また、野菜の鮮度も重要なポイントです。
新鮮な野菜を使うことで、より風味豊かで美味しい野菜だしを作ることができます。

 

 

まとめ

 

今回は、世界各国の野菜だし事情について解説しました。
欧米ではブイヨンやフォンの一部として、アジアでは地域特有の調理法で、野菜だしは料理の重要な要素となっています。
日本の野菜だしとは異なる、濃厚で力強い味わいから、繊細で上品な味わいまで、多様な野菜だしが存在することがお分かりいただけたかと思います。
様々な野菜の風味や特徴を理解し、自分好みの野菜だしを見つけて、料理の幅を広げてみてください。

当社では、世界で初めてヴィーガン認証を取得した野菜だしを販売しています。
気になる方はぜひチェックしてみてください。